時のむすめ
芝田勝茂・作、若菜 等・画、発行 理論社
[ISBN] 4-87692-061-3
1993年10月 発売 ¥1,121(税込)
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夢から生まれたものがたり
大きなブナの木の下で一人の少女が目をさましました。
その少女は千年に一度やって来る『時のむすめ』でした。
少女は彦星と花伝という名の兄妹に出会い、二人のために石の都に出かけて行き、石びと達に美しい森をとりもどしてあげました。
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めずらしく中学年向けの童話。『ふるさとは、夏』での受賞以来、あちこちから原稿の依頼がくるようになり、福音館書店、講談社以外の出版社の編集者と会うようになった。でも遅筆はかわらず、満足のいく原稿をつくるのはあいかわらず大変だったが、この年(1993年)は、これと『星の砦』の2冊刊行、という、めずらしい年となった。『星の砦』とくらべると、こちらは書評もすくなかったように思う。まあ、書評しようがない、といえばいえるけど。夢で、彦星と花伝に出会ったことが、これを書くきっかけだった。ちょうど出版された頃、「紅茶花伝」という飲み物が出た。わたしの方が早いのだぞ、とは編集者しかわからないのだが、別に特許というわけではもちろんない。風姿花伝からとったのだろう、といわれればそれまでだけど。
京都新聞の『お話を絵にする』コンクール、熊本県の小学生読書感想画コンクールの課題図書になった。2000年10月、日本児童文学の創作時評で河野孝之さんが荻原規子さんのホームページのタイトル(『時の娘』)にふれたついでに「芝田勝茂さんに同名の作品があったな」と書いている。思い出してくれてうれしい。