芝田勝茂の単行本 作品紹介

虫めずる姫の冒険

芝田勝茂・作、小松良佳・画、発行・ あかね書房

[ISBN] 978-4-251-04401-3/NDC913

2005年10月25日 発売 ¥1,155(税込)

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= あらすじ =
時は平安時代。都大路を葵まつりの行列があでやかに通り過ぎていきます。その行列をとつぜんおそった、スズメバチの群れ。それを救ったやんゃなお姫さまは、やがてとんでもない事件にかかわることになります。 古典からとびだした、『虫めずる姫』の歴史時代劇・お笑い大冒険!!
= PostScript =

芝田勝茂16冊目の単行本は、『虫めずる姫の冒険』です。

あかね書房の新シリーズ、小学校の中学年をターゲットとした『スプラッシュ・ストーリー』シリーズの1冊目。

ご存知『堤中納言物語』という古典(アンソロジー)のなかの『虫めずる姫君』をイメージしたファンタジーです。

以前から、平安の昔に、こんなに<現代風な>自己を主張した女性が描かれていたことに驚嘆していました。

でも、虫を愛で、自然な姿こそ尊いという「すっぴん」の姫の話がどんなふうに続くのか。「二の巻につづく」とした原典の作者もじつはさじをなげてしまったのではないかと思います。編集者の、「ぜひやってください」という声に励まされ、この無謀な挑戦に同意したのは2年前。最初、タイムファンタジーを考えたのですが、書き出してみると、構想とはかなりちがう物語が紡がれていきました。時代は平安、小学生読者に、難しい用語をいかにやさしく、わかりやすく(しかも間違いがないように)書くかということを心がけながら。書きすすむにつれて、あらわれた姫や、その仲間たちのキャラクターが楽しく、毎夜、会うのがうれしかったものです。約3ヶ月で初稿ができ、渋谷の喫茶店で編集者と話をしたとき、「絵は小松良佳さんにお願いしましょう」ということになり、その場で携帯から彼女に連絡。いきなりです。でも小松さん、快く承諾してくださいました。おかげさまでほんとにいい本になりました。ページをめくるごと、描かれるシーンは物語の楽しさを倍にしてくれます。編集者の帯も、<元気な姫が大活躍する、スペクタクル・平安ファンタジー!!さあ、どうする『虫めずる姫』!?>と、のりのりです(笑)。小学生諸君、文も絵もたっぷり楽しめます。