エッセイやアンソロジーなど

短編に寄せて
短編は当初は本当に苦手だった。(今でも得意ではないけれど)でもまあそれゆえに、 けっこう必死でがんばって書いているので、時々読みかえすと「下手だなあ」 と思わず笑ってしまうことももちろんあるけれど意外な冴えを感じたりもする。 しかしこうしてまとめてみると、けっこう書いてきたんだなあと思う。 この中でいえば「進化論」のもとになった「ネバーランディア」とか、 処女短編で古事記に素材をとった「ウズメの舞台」とか、平家物語に 素材をとった「はちまん先生」などは作者のお気にいり。単行本になったものは 図書館へ行けばだれでも読めるけど、これらの短編は、それっきりなので、 できれば短編集、出したい。 作家なのに作品(小説)ではない文章の依頼をうけて、それを書かねばならないのはつらい。 「偉そうに」書いてるけど、これは本音。…最近すこしだけ、こういうものを書くこつがわかってきた ような気がするんだけど。以下にあげたもの以外にもあちこち書き散らしているが、 とりあえず目についたところだけ。

順不同リスト

  • 2007年02月 『ちゃぐりん』2月号(家の光協会)に『差出人のない手紙』
  • 2007年01月 『きみも名探偵シリーズ』日本児童文学者協会編(偕成社)巻頭に『ブロッコリーのひみつ』短編推理もの
  • 2006年11月 『話のびっくり箱』5年下(学研)巻頭カラー『オクトパス・ガーデン』
  • 2006年08月 『児童文芸』にエッセイ「夏のすごしかた」
  • 2006年04月 『子どもと読書』(4・5月号)巻頭「ホットライン」に、『読者との交流にはげまされて』と題したエッセイ。
  • 2006年02月 日本児童文学者協会HP、リレートーク/どんな本が好きだった?に、『アラバマ物語』
  • 2006年01月 虎狩り(日本児童文学1・2月号(特集「笑える!」)
  • 2006年01月 土曜の午後のピアノ(ちゃぐりん/家の光協会)
  • 2005年10月 提言〜わたしが書くことを続けられた理由』(児童文芸 10・11月号)
  • 2005年09月 学校の裏の池(ちゃぐりん/家の光協会)(挿絵:小松良佳)
  • 2005年08月 太陽と月の居場所(ネバーランド 4号/てらいんく)
  • 2005年06月 すてきなアドベンチャーガール(読み特/学研)
  • 2005年02月 D.W.ジョーンズ『9年目の魔法』論。(ネバーランド 2号/てらいんく)
  • 2005年02月 恐怖のきぐるみパーク(平成うわさの怪談13/岩崎書店)
  • 2004年06月 夢織りの布(読み特/学研)(画:小松良佳)
  • 2003年06月 変な先生(小五教育技術/ 7/8月合併号・小学館)読み聞かせのためのショートミステリー。おお、挿絵は学研読み特で『赤いリボン…』描いてくれた本橋さんではないか。
  • 2003年05月 『「開いている」ファンタジーと「閉じている」ファンタジー』(魔法のファンタジー/ファンタジー研究会編)川村たかし児童文芸家協会会長よりの依頼。NHKでとりあげられ、大きな感動を呼んだ話。
  • 2003年02月 みおちづるさん『少女海賊ユーリB海竜のなみだ』巻末解説
  • 2003年02月 中国残留孤児の父・山本慈照 (心うたれるほんとうにあった話/ ポプラ社)川村たかし児童文芸家協会会長よりの依頼。NHKでとりあげられ、大きな感動を呼んだ話。
  • 2002年11月20日 はじめての舞台(話のびっくり箱/学研)劇団コノフの森初演時のドタバタ。実話です。
  • 2002年10月01日 ジョ・フク少年少女探検隊はじまりの記(児童文芸10月/11月号)秦・始皇帝に命じられ、不老長寿の霊薬を求めて旅だった徐福。その徐福伝説にもとづいて、少年少女三千人が蓬莱に旅立つまでの序章。いつか長編に?さあ。(絵/本橋靖昭 氏)
  • 2002年06月20日 赤いリボンと宇宙船(話のびっくり箱5年/学研)はじめての巻頭カラー。原稿用紙17枚。50年後の未来。惑星間航行宇宙船「まほろば」で起きた不思議な事件。名探偵クマさんの事件簿第2弾。(絵/本橋靖昭 氏)
  • 2002年04月02日 鏡のむこうにぼくがいる(産経新聞)はじめての新聞掲載。原稿用紙3枚。難しかったです。鏡のむこうに別の世界がある、というのはファンタジー作家なら一度は手がけたいテーマ。
  • 2001年11月 山の中のエルク(話のびっくり箱4年/学研)ワシントン州でホームステイした時の実話。はい、作家たるもの、依頼があれば何でもこなしますです。(絵/イトウケイシ 氏)
  • 2001年08月 影の教室(だいすきミステリー3/偕成社)「影」に学習させる、というおかしな塾の話。
  • 2001年03月 名誉と栄光のためでなく(児童文芸)ある日少年はトイレで…。衝撃的な爆笑ストーリー。 読んだ男の子たちには大うけ。
  • 2000年12月 ヒロとぼくだけの秘密(話のびっくり箱5年/学研)少年のほのぼの初恋ストーリー?モデルは某劇団の女優。そう、あのヒロです。(絵/広野多珂子 氏)
  • 2000年08月 ヴェラキラプトルの復活/名探偵ひみつ事件ノート(ミステリーがいっぱい7/偕成社)偕成社のオムニバスミステリーシリーズ。 編集委員をしていた関係で短編をひとつ書くことに。ヴェラキラプトルとは映画「ジュラシックパーク」 でもおなじみの小型肉食恐竜。それが小学校の教室に出現したら?
  • 1999年12月 クマさんと雪だるま(読み特3年/学研)推理小説です。 名探偵クマさんは学校の校庭につくられた 100個の雪だるまの謎を解くことができるでしょうか?(絵/柿田ゆかり氏)
  • 1999年03月 はちまん先生(児童文芸)これはテンポがよくて、おもしろいので、 いつかまた読めるようにしたい。突然やってきた教師「はちまん先生」の語る 「平家物語」壇ノ浦の合戦が佳境に入ると…。
  • 1999年01月 たからげた(よいこのがくしゅう/学研)再話です。民話があって、それをもとに文章を書いたものです(絵/村上豊 氏)
  • 1998年12月 「少数派」としての子どもたち −同時代的芝田勝茂論−(UNIT評論98)
  • もしも、子どもの本の書き手の中で、「同時代に生きていることを感じる作家は?」 と問われたなら、私はまず「芝田勝茂」と答えるだろう。感覚的に共鳴する作家や、 普遍性を感じる作家、巧みさを感じる作家など気になる書き手はたくさんいる。しかし、芝田勝茂の作品には、同じ時代に生きている模索の過程が見える。 それが感覚的な好き嫌いや、作品の完成度をこえて、私をひきつける。(絵/奥山恵 氏)
  • 1997年11月 雪原のマンモスパーク(読み特4年/学研)シベリアから発掘されたマンモスの DNAをもとに復活したマンモスがテーマパークに。(絵/もとのりゆき 氏)
  • 1997年07月 サッカー川中島(読み特6年/学研)連戦連敗の少年サッカーチームを 立て直すためにコーチの正夫がとった作戦は、 武田信玄と上杉謙信の「川中島の合戦」を ヒントにしたものだった。さて、その結果は…?これも評判がよかった短編のひとつ。(絵/和田慧子 氏)
  • 1996年12月不安な「わたし」、仮面の「わたし」 −芝田勝茂の世界をスケッチする−(日本児童文学)しかし、その「現実」に対する「不安」そのものに、「想像力の翼」を付けようとする作家は多くない。ましてや、 その「想像力の翼」を持った「不安」を、「わたし」という 心象風景として描こうとする点では、稀有な作家と言ってよいだろう。…芝田の作品はどれも、この俯瞰の視座と定立の視座が見事に交わっている。 いやその交わりにこそ芝田の「想像力の翼」が生き生きと羽ばたいている。
  • 1996年11月 ランディーと王鹿(読み特4年/学研)学研の依頼は、わたしの楽しみともなった。 ランディーとは、サマーキャンプで知り合った アメリカ人がモデル。この短編の舞台は長野県川上村をイメージしている。(絵/山口みねやす 氏)
  • 1996年07月 ゆめであいましょう(学校の怪奇ファイル/だいすきこわい話6/偕成社)オムニバスのシリーズもの。こわい話は楽しい。
  • 1995年03月 ゼロ・モニター(子どもと本31人からのメッセージ/みくに出版)近未来のメディア、そして通信手段がどうなっているかを、 その時代としてはせいいっぱい先取りして描いた。テレビのチャンネルが100以上もある、というのは正解だったけど、 携帯がこれほど短時間に普及することは予測できてなかった。
  • 1993年08月 ネバーランディア(日本児童文学)雑誌「日本児童文学」からの依頼。 当時からあたためていた「進化論」 テーマをそのまんまぶつけた。某大学の「進化論」講義のテキストに使用されたそう。 小林敏也さんの挿絵だったのが嬉しかった。(絵/小林敏也 氏)
  • 1993年04月 春の小川(児童文芸)めずらしくふつうのホームドラマ。なので逆にちょっと恥ずかしい。洗剤による環境問題を考えた主婦・節子さんの話。
  • 1992年11月 みんな、変身!(読み特5年/学研)主人公が寝坊をしたばっかりに まわりがみんな動物などに変身してしまう。 よく考えれば怖い話なんだけど。「ユーモアSF」となってました。(絵/小松修 氏)
  • 1992年07月 夢商人(読み特5年/学研)はじめての学研掲載。20万人の読者がいると思うと気合がはいった。 二人の少女が出会ったおかしな「夢商人」。どんな夢を買おうとした?ちなみにこの二人の少女、「由美と順子」はその後「雨ニモマケチャウカモシレナイ」 で主役をつとめる「アミとゆり」の原型でもある。(絵/清水耕蔵 氏)
  • 1988年12月 超能力少女(児童文芸)他人の心が読める…といえばもうおわかり? これを読んだ編集者によって、 のちに「きみに会いたい」が生まれることに。(絵/こばやしあきこ 氏)
  • 1988年08月 ブルー・メサの夜(児童文芸)アリゾナ州へ行った時、 先住民ホピ族と出会ったことをきっかけに。「メサ」とは西部の砂漠特有の台形状の丘。 ホピ族はこの丘の上に集落を築く。
  • 1884年11月 ウズメの舞台(児童文芸)古事記を素材にした短編。 2001年に改訂版を越水利江子さんのHP「風雲童話城」に掲載。いまのところWebで読める唯一の短編。(絵/稲本みえ子 氏)

短編作品一覧

  • 「少数派」としての子どもたち

    1998年12月 −同時代的芝田勝茂論−(UNIT評論98)

    もしも、子どもの本の書き手の中で、「同時代に生きていることを感じる作家は?」 と問われたなら、私はまず「芝田勝茂」と答えるだろう。感覚的に共鳴する作家や、 普遍性を感じる作家、巧みさを感じる作家など気になる書き手はたくさんいる。しかし、芝田勝茂の作品には、同じ時代に生きている模索の過程が見える。 それが感覚的な好き嫌いや、作品の完成度をこえて、私をひきつける。(絵/奥山恵 氏)

  • 不安な「わたし」、仮面の「わたし」

    1996年12月 −芝田勝茂の世界をスケッチする−(日本児童文学)

    しかし、その「現実」に対する「不安」そのものに、「想像力の翼」を付けようとする作家は多くない。ましてや、 その「想像力の翼」を持った「不安」を、「わたし」という 心象風景として描こうとする点では、稀有な作家と言ってよいだろう。 …芝田の作品はどれも、この俯瞰の視座と定立の視座が見事に交わっている。 いやその交わりにこそ芝田の「想像力の翼」が生き生きと羽ばたいている。