雨ニモマケチャウカモシレナイ
芝田勝茂・作、青井芳美・画、発行 小峰書店
[ISBN] 4-338-10714-6
1998年8月10日 発行 ¥1,365円(税別)
- = あらすじ =
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さあ開演のベルがなる。
鹿といっしょに夕陽の歌を歌った少年が、アミとゆりをふしぎな世界へつれてゆく。
ここは関川第二団地公園?それとも…?
そうです、ここは劇団イーハトーヴのステージなのです。
- = 書評 =
- タイトルから予想できるように、この作品は宮沢賢治の詩「雨ニモマケズ」を文字通りのモチーフとした、一種のパロディーというかパスティッシュというか、あるいは賢治ワールドへのオマージュというか批評というか、いずれにしても意図としては大胆というしかない。ゆりとアミの二人は、夕暮れの公園で不思議な少年から一枚の案内状を手渡される。それはイーハトーヴという劇団による「雨ニモマケチャウカモシレナイ」という公演の案内であり、同時にこれに参加する団員のオーディションの案内でもあった。/女優志望のアミは、ゆりの助けを借りながらこのオーディションに応じ、二人の少女がその心と体を総動員して「雨ニモマケズ」に挑むのである。舞台(物語)と現実、俳優と観客がいつのまにか区別を失っていく手法、また結構笑わせてくれるやりとりを含め、井上ひさしの戯曲を思わせる魅力もあり、「快作」といいたい仕上がりになっている。(藤田のぼる書評より:東京新聞1998年8月23日