銀の海


ひとりで 海へ行った
太陽が、海に銀貨をばらまいていた
君への土産に持ってかえろうと
光をすくいあげても
水とともにこぼれて消えた

ひとはなぜ 悲しみを選べない
もう一度海を 見せたい

ひとりで 砂を歩いた
ハマヒルガオが 白く咲いてた
それははかない
君の生命

水に濡れた石がきれいだから
ポケットにいれて
海を連れてかえるよ

ひとは何故 悲しみを選べない
もう一度海を見せたい

薬品の臭い たちこめた部屋
君のベットに 並べた銀の石は
さらさらに乾いたただの石ころ

「きれい...。」
と君は言った
もう一度海を見せたい
「きれい...。」
と君は言った
もう一度海を見せたい


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