| 2005年03月31日 |
★春の合宿。
毎年、といってもこれで3年目ですが、房総半島の山の中で、中高生諸君二十名程度の小さなキャンプをしています。『ことばの森』というのですが、古今東西の古典や文学作品、現代のベストセラー作品などをみんなで朗読したりしながら、さまざまな<表現>にふれる、というものです。まあ、いまいち趣旨がよくわからない、何をやるのかわからない、という声もあるとおり、ふつうの勉強の「合宿」ではないことは確か。で、おそるおそる、というか、興味津々というか、怖いもの見たさ、で集まってきたみんなとともに、4日間をすごしてきました。本はほぼ数日ごとに1冊読むという子から、ここ3年で2冊しか読んだことがない!という猛者まで、年齢も12歳から18歳までと幅広いのですが、すぐにみんな日ごろの<素顔>をそのままに見せてくれ、個性がぶつかりあう、おもしろい合宿になりました。『20世紀少年』という全員参加のおそろしいゲーム、そして<相手の正体をつきとめねばならない>『わたしを探して』というゲームなど、だれが考案したのか(おまえだろうっ)わけのわからないゲームをし、談話室にはダンボール2箱ぶんの本がずらりと並び、そして今をときめく路上ライブの雄、『ジアコギ』の特別ライブがあり、最後の夜はグループごとに<朗読劇>をする、というように、充実した4日間でありました。しかし朗読って、ほんとうにおもしろい。ことばが、ひとつひとつそれぞれの心にとびこんでいく様子がよくわかります。と同じに、その作品のレベル、というか、<個性>が、黙読なんかよりもはるかにきわだつのです。前に読んだはずの作品でさえ、「こういうことなのか」と、新しい理解が強烈にあったりするのです。もちろんわたしの作品も例外ではありませんでした。つまり20人の無垢な魂による洗礼を受ける、みたいなことでした。……何のことかわからないかな。つまりまあ、作家的に、勉強になる合宿でもあったということです。参加してくれたみんな、そして、スタッフのみんな、ほんとうにありがとう。
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| 2005年03月23日 |
『パスワード菩薩崎決戦』松原秀行(講談社青い鳥文庫 )
3月15日に発売されたばかりのシリーズ第16弾。パスワードシリーズは10周年だそうです。一気に読めてしまうこのおもしろさ。今の時代の小学生や中学生はこんな楽しい読み物が手軽に読めて、なんとしあわせなんだろう。
それにしても松原さんは天才だ。ギャグに駄洒落に頭の体操、ありとあらゆるクイズがこれでもかとばかりにじゅうたん爆撃のようにふりそそぐ……隊長っ!こんなに惜しげもなく500ポンド爆弾使ってしまっていいんですかっ!弾薬庫からになりませんかっ!とにかく全編、息もつかせず窒息死、ちがうって。じつは電車の中で「ぶふっ」と何度か思わず吹き出してしまったのだった。
「パスワードシリーズ」じつは「パソコン通信探偵団事件ノート」は、読めば読むほど、登場する子どもたちの像がくっきりとしてきて、しかもそれぞれの子たちがきらきら輝いて、飛び跳ねる。読者はどうしたって、いつのまにかマコトやみずきになりきって、はらはらしたり、ぽわ〜んとなったり、ほのぼのしたり、地団駄踏んだり、「もうちょっとこのシーンのままでいさせて……」なんて想いを共有したり、つまり読みながら至福のときをすごすのだ。それもこれも松原さんの全方位にはりめぐらされたアンテナと、「おもしろいこと」を紡ぎあげる魔法のキーボードのなせるわざ。
堪能しちゃった。次回で小学生卒業?う〜ん。もうちょっとこのままのマコトたちも見ていたいですよ。いちご畑も永遠に。と、思ってしまった最新刊でした!だけど、中学生になったかれらも見てみたい。それもたしかです。豪華風浜市近郊地図つき。
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| 2005年03月19日 |
★ジアコギ&もりたかしライブ@『多作』
3月18日の夕方、とつぜんがあって「今日はジアコギが渋谷で歌うんですよ」とのこと。わあ、なつかしい。ひさしぶりだ。大喜びで、ライブハウスに向かう。ジアコギは、この3月で結成4周年になる。モヤイ像の横でかれらが歌うのを、会社帰りに毎週聞いていたのは3年前。会場で、その頃知り合った二人の青年、I君とM君とも再会。新しい曲とともに、その頃の唄も何曲か歌ってくれる。ストリートライブでは、街の騒音もひとつの伴奏になっていて、道行くひとびとの顔とともに、それもまた大きな楽しみだったのだけど、ライブハウスではもっぱら歌に集中できて、もちろんこれはこれですばらしい。ジアコギのアコスティックギターの音色は以前に増して美しく、至福のときをすごさせてもらう。
本日はツーマンライブで、ジアコギのあとに、もりたかしさんという方の歌をはじめて聞いた。こちらは語りも面白く、日ごろ電車を使わない彼がひさしぶりに電車に乗ろうとしたとき、駅で初めて「スイカ」を使っている人を見たときの「こ、これは何!」という話や、『トラジロー』の歌、笑いました。
そして最後に、『恐竜のうた』(作詞:芝田勝茂)を3人で歌ってくれた。ジアコギのKくんとサマーキャンプをやっていたときのことなどが走馬灯のように浮かび、おわってからいっしょに飲んだりしてあっという間に夜はふけていきました。ジアコギはTV朝日のストリートファイターズというストリートライブをやっているバンドの紹介番組で、2月に登録されるやいなや、いきなりネット投票部門の全国1位になったそうです。機会がありましたらみなさんもぜひ一度、お聞きください。ちなみにライブハウスの名前は『多作』……ちょっと寡作作家には縁がなかったかも?
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| 2005年03月17日 |
★セイリング。
★春です。どこからともなく沈丁花の香り。まだ重いコートで歩いていたら汗ばんでしまいました。入試のシーズンも一段落でしょうか。今年の早稲田実業中等部の国語入試問題は『きみに会いたい』(あかね書房)だったそうです。どんな問題だったのか、見てみたい。いぜん、法政ニ中の入試には『ふるさとは、夏』が出てましたが、本人は知りませんでした。今回も、もちろん作家は知るよしもなく、問題集をつくる会社から知らされたというわけでした。つまり入試に出ても、その問題が世に出る(問題集とか)ことがなければ、著作権うんぬんは問われないのですね。『サラシナ』も『星の砦』も国語の問題になっているのですが、「試験によく出る作家」という評判がたって売れないもんだろうか。売れないだろうなあ。まあそういう評判もどうかと思うけどさ。
★さて、ようやくドーム郡シリーズ3の作者校正がおわりました。ふう〜〜。最後のページを、渋谷の某書店の二階にあるコーヒーショップで終えたとき、流れている音楽が“sailing”であることに気がつきました。この唄こそは、わたしが二十数年、ずっとキャンプの最後の夜にみんなといっしょに歌っていた曲でした。その唄が、校正を終えたときに流れていたことで、もう、胸がいっぱいに。ああ、うれしい。祝福されているんだ。ここまでこれてよかった。
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| 2005年03月13日 |
★体内時計。
ひさしぶりに編集者のKさんと、おたがい忙しいので『コーヒー1杯』分だけお話ししましょうと待ち合わせ。ところがなんだかんだと喫茶店で2時間、それから飲みに行ったわけだから……いったいなんのための『コーヒー1杯』の約束だったのやら。でもそういうふうに前もっておたがいに決めておくと、とても気軽にいろいろ話せるものなんですね。またコーヒー1杯分だけしゃべりましょう(笑)。
これはそのあと飲んでるときの話題だったんですが、わたしには祖母ゆずりの「体内時計」がある、という話をしたら、Kさんにはまったくそういうことがない、そもそも目覚まし時計は2つもかけて寝るのに、にもかかわらず起きられない、とおっしゃる。そこでわたしの体内<無意識さま>時計にどうやって起こしてもらうのか、ということをお話しました。みなさんも試してみてください。ちなみにわたしは生まれてからこのかた、ん十年間というもの、寝るときに目覚まし時計を使ったことがありません。……その方法というのは、たとえば午前1時に寝るとしたら、「明日7時に起きるわけだから、ええと、6時間眠るわけだ」と、まず睡眠時間を数えます。そして、その分だけ(つまり6回)枕をたたくんです。すると、翌朝、きっかり7時に目が覚めます。……それだけの話。もしも睡眠時間が5時間半だったら、5回と半分……つまり半分は軽くたたく、というようなことです。あと、電車で寝るときは、起きる駅を前もってインプットします。「日本橋で起きます!」とか。そしたらきっちり日本橋の駅で起きられます。……Kさんにはとても驚かれたのですが、みなさんはどうですか?体内時計、活用しますよねえ。それともわたしが奇人変人?
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| 2005年03月03日 |
★ゲラ。
『ドーム郡シリーズ・3』(完結編)の「初校」が帰ってきた。いよいよこれから最後の校正だ。しっかりと活字が組んである。本になったのを読むような気がする。でも文章のアラも同じに目に飛び込んでくる。直さなくては。
不必要なまでにアラが目立つときがある。でもしばらく読みすすむと、もうすっかり物語のなかに入りこんでしまい、どこがおかしいのかも何も感じられなくなってしまう。
こんども、「校正」をされている方の<気持ち>を身近に感じる。この前もそうだったのだけど、ああ〜いい仕事をしてもらっている、という気持ち。わかりますか。わたしの文章を、しっかり読んで、受けとめてもらっている、ということがわかる瞬間があるのですよ。
その方へ、も含め、もちろんまだ見ぬ読者に心をこめて、赤ペンを入れる。ルビをつける。今回は、わたしの希望で自分でルビをつけさせてもらうことにしたのです。
ところで「ゲラ」というのは、「ガレイ」つまり「ガレー船」からきた言葉だそうです。活字がぎっしり詰められたお盆のことなんだけど、それが「ガレー船」つまり奴隷がぎっしり並んで櫂を漕いでいる船を連想させるから、ということなのだとか。
この物語にも「ガレー船」が登場します。そう。舞台は海だから。
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