★金原ひとみさんに会う★
3月某日、新宿歌舞伎町の某スナックにて金原ひとみさんにお会いする。この機会をつくってくださったのは、松原秀行さん。松原さんとわたしは20年前の同期デビューだったのが、やっとおたがいに会うことができ、またそれぞれの処女作が同時期に復刊されたという偶然(その1)があり、そのお祝いにかけつけてくださったのが松原さんの教え子長崎夏海さんだったという偶然(その2)、かれといっしょに講談社の新人賞選考委員をやっているのが金原ひとみさんの父君、金原瑞人さんだという偶然(その3)、さらに金原ひとみさんが小学生時代に愛読した作家というのが芝田勝茂と長崎夏海さんだった、という偶然(その4)がかさなり、(じつはもっとあるのだけど)……「ではみんなでお会いしましょう」ということになった次第。世の中は複雑。いろいろ縦糸や横糸や斜め糸(あるのか)がからみあってこういう出会いが生まれるのだなあ。
さて、歌舞伎町で「おに〜さんよってらっしゃい」という誘惑をふりきりながら(おい)結局迷って電話してようやくたどりつけば奥の席に金原さん父子が。父君はなんと若い。父子というより、兄妹にしか見えない。松原さんが「芝田さんです」と紹介してくださったので「おれたちファンタジー作家同盟組んでるんっす」と<蛇にピアス>の一節をパクるおやぶんでした。すこしはにかみながら「はじめまして」というひとみさん。多くのインタビュアーが書いているように、じっさいにお会いするとほんとうに魅力的な20才の女性でした。<芥川賞受賞作家である現在>というフィルターをかけている、という面があるだろうことも否定はしませんが、言葉の端々に感じる表情の豊かさ、感性のこまやかさは、作品の創造者なのだとあらためて実感させます。若干自制心をなくしてまして(いつものこと?)、テンション高く『蛇にピアス』と第2作『アッシュ・ベイビー』について質問をかさね、さらに早口で感想をまくしたてていました……松原さんが、わたしの感想をきいて、「あ、それは『開いている』と『閉じている』だね?」とおっしゃって、はっとしました。このふたつの作品のちがいには、たし かにそういう面があるかもしれません。長崎夏海さんは少女時代に彼女を家に泊めたこともあったという仲、ふたりも楽しそうに語らっておられました。そんなこんなであっという間に時がたち、偶然が生んだふしぎなパーティーは終わってしまったのでした。後日、彼女から、
>ファンタジー作家同盟、いつか私も入れる日を楽しみにしています。
と、うれしいメール。もちろんわたしたちもその日を待ってますからね。……以上、前回の「近況」にはこんなエピソードがつけくわわりましたよ、という報告でした。
|