| 2003年2月27日 |
★ロード・オブ・ザ・リング2 その2★
映画を見てあらためて思ったのだけど、タイトルは正確にいえば『ロードオブザリングズ』であって、『……リング』ではないのです。
たぶん同じことはどこかでだれか言ってるだろうけど、要するにその意味は『指輪たち(リングズ)のなかでももっとも偉い王様級の指輪』ということであって、けっして『指輪への道』であるとか『王様がはめてた指輪』というような意味ではないのですよ。リングズという複数形がないとこの意味にはならんではないですか。……しかしまあ『ユーガットメール』(You'veだろうっ)とかね、適当にカタカナにしてしまう、というのが映画がヒットする条件なのかもしれません。……あとね。もしもこれがビデオになって、それを初めて見たらけっこうがっかりもするだろうな、と思いました。映画というのは劇場で見なければならないものですねえ。流行ってるわりには、「よくわかんなかった」という声も多い、という話を今日ある学生から聞きました。だろうなあ。 原作読んでないとキビシイのでは。そして原作を先に読むのはこれまたキビシイ。でも、まあ、確実にファンタジーというものに惹かれる人は増えてはいるのだけどね。
|
| 2003年2月25日 |
★ロード・オブ・ザ・リング2★
まああしかし、こんなおもしろい映画見て、あれこれ同好の士どうしでしゃべってたら楽しいよねそれは。はい。よくできておりました。スメアゴルの姿が本当にイメージどおりのゴクリ。ゴクリという名前にしてほしかった。指輪物語は、ゴクリあっての指輪物語だということをあらためて痛感しました。そして馳夫も、その名のとおりよく走っていた。これを見て本を読むと、本の指輪はわかりやすいだろうと思う。しかし。ニュージーランドって、日本くらいの小さな島国だと思ってたんだけど、あの圧倒的な自然のすごさはどうですか。原作を読んでいて、この自然のすごさは感じてなかった(読みとれてなかった)だけにね。いやはや。それからホビットというのは、やはりイギリス人がつくったもんなんだねえとサムを見ていてつくづく。「ポテイト〜」とかいってさ。あ〜語り出せばとまらないね。でもね。「ホビットの冒険」もそうなんだけど、これはやはり『戦争』の話なんですよね。
|
| 2003年2月22日 |
★ア・ガール・ウイズ・カレイドスコープ・アイズ★
さて、同席していた、若く美しくそして孤独な(笑)ファンタジー作家とは、みおちづるさんです。彼女の、3月に発売される『少女海賊ユーリ』(童心社)第3巻『海竜のなみだ』の解説を書きました。わたしの解説タイトルは「『未来』という名の『過去』の傷」。このタイトルだけでもすごいでしょう。ヒロインのユーリは、千年後の未来の「世界の半分」をおのれの科学によってふっとばしたという「過去」を持つ推定年齢200才以上なのに、見かけはたおやかな少女、にして海賊船『ユーラスティア号』の船長。200才ですよ、ああた。なのに少女なんですよ。それってどういう子ですか。こころは年をとらない(正確にいえばそういう部分がある)ということを、今この年になってしみじみと感じてるわたしなんか、これだけの設定で300枚は使ってしまいそうだ。これをなんと毎回100〜110枚で……そこにまあ、環境問題といいますか、現在のわたしたちの問題までからめてしまう、という……神技?……風野潮さんといい、若い作家たちのこの元気のよさ。みおさんに「『ナシス』以後の本格ファンタジー次回作はどういう内容ですか?」とたずねると、にっこり笑って「暗いんです。」に一同爆笑しましたが、そのひとことで「読みたい〜〜!」と思ってしまいました。みおさんの上記ニックネームをつけた松原さんも「和製ファンタジーの烈風をまきおこそうぜっ!」とおっしゃってましたが(松原さん…「烈風」はまぼろしのゼロ戦後継機だよたしか…汗)同志がんばろうぜっ!
|
| 2003年2月18日 |
★『竜太』が帰ってくる!★
遅くなった「旧正月の新年会」(笑)を松原秀行さんおよびK社の編集者と。楽しかったあ。いぜん松原さんのことは「消えた近況」に書きましたが、そのあともパソコン通信探偵団シリーズは快調で、最新作の『パスワード春夏秋冬』(上・下)なんてほんとに傑作です。その松原さんの処女作『竜太と青い薔薇』が、装いもあらたに青い鳥文庫で発行される!ということで、『ドーム郡ものがたり』とほとんど同じ時期に福音館土曜日文庫で出た本がともに再刊されることになったというふしぎな因縁やら、「昔の作品に手を入れる」ことについて話の花が咲きました。まあ読んでいただければわかるのですが、松原さんの『竜太』と『ドーム郡』は、わりと近親関係にあるのですよ。たぶん当時からわたしたちはおたがいを強く意識していて、でもほんとにお会いすることはなかったのです。そして20年がすぎて、こうして飲めるなんて。あのころ、もしも紹介されていたら、もっともっとおたがいにファンタジーの話ができたのに、と悔やむ気持ちもありました。そう。その頃わたしたちはおたがいに「指輪物語」を読みながらこつこつと孤独にファンタジーを書いていたのです。アッツ島とキスカ島で戦っていた戦友同士みたいに(こらこらどっちも玉砕しておるではないか)。もとい。旅順と奉天で(それもちがうだろっ!)。う〜ん東大時計塔と神田カルチェ・ラタンで(そのままやないか!)。さて、もうひとり、そのおじさん作家たちの言いたい放題の場に同席していた、若く美しくそして孤独な(笑)ファンタジー作家がいたのですがいったいその方は……次回ね。 |
| 2003年2月12日 |
★グローバルはグロ★
いろいろ本音を吐こうと思うと、やはりひっそりとこんなところで書くのがいいかなあ、と思って、最新の近況はここにしました。さて、このたびわたくしは日本児童文芸家協会の理事を辞退させてもらいました。けっこう長くやってきたので、まあここらへんで自分の仕事をさせてほしい、というところです。何もかもや〜めた、ということではありません、そこらへん誤解のないように(笑)。しかし、理事会でわたしは何をやってきたんだろうと忸怩たる思いも多少。まあみなさんいい方ばかりだから、喧嘩にもならず……ならない、というところが問題なんですけどね。しかし、こういうところにいると、自分の、自分だけのものさしを持つことと、それを他人にわからせることの難しさをあらためて感じてます。つまりね。結局のところ、ひとはだれかに影響されて、だれかの目を気にし、いつのまにかほんとうにいわねばならないことをどこかに落っことしてきてしまうのです。理屈なんて、どこにでも立つ、ということをわたしたちはもういやというほど知っています。その理屈のよってたつ所以が「いやらしい」ものとたたかう、ということくらいです、こちらのささやかな根拠というのは。別にかっこよくもなんともないけど、でもやるしかなかろうさ。これからわたしたちが生きていこうと思うなら、あらゆる点で、あらゆる面での『グローバル・スタンダード』とたたかうしかない。何を書いてるかわからんでしょうけど。まあ読むだけ読んどいておくれ。説明なんかしないよ。
|
| 2003年2月11日 |
★『ドーム郡ものがたり』のこと★
ずっと予告ばかりで申し訳ありませんでした。『ドーム郡ものがたり』は、リニューアルされてこの6月に発売されます。たぶん、かつての読者の方々は、「昔のまま」の姿での再刊を期待されていると思いますが、作者としては、そのことももちろん大きな動機ではありますが、今のひとたちに、新しい読者たちに手渡すために、最良のかたちは何かと考えたあげく、若干の文の変更、文体の変更を行いました。より読みやすくなったはずですし、たぶんほとんどの方が違和感なく受けとめてもらえると確信しています。その「若干の手直し」をしながら、『ドーム郡ものがたり』をもういちどなぞりながら、さまざまなことを考えました。これが日本のハイファンタジー草創の時期に書かれたものとしての、高いレベルを持っていることに、ささやかな誇らしさを感じました。20年間、ほとんどふれないできた『ドーム郡ものがたり』……それはほんとうにわたしの「意識」からもなるべく遠ざけていたほど、疎遠になっていました……を、なぜか今、ふたたびこうして味わうことになるまでのここ数年のわたし自身の変化を思うと、こうして再刊するのはやはりもう、わたしの考えとかいうちっぽけなものが決めることではなく、ある大きな流れのなかで、自然に「そうなってきたのだ」としかいいようがないような気がします。今はほんとうにすなおに、『ドーム郡小史』のつづきを書いています、と、ここにも書くことができるのです。とにかくそんなことで、再刊まではきっと、あっという間だと思います。これから、新しい本になるのを、わくわくしながら見届けていきたいと思っています。
(ゲラ初校を送った日に)
|
| 2003年2月1日 |
★『海辺のカフカ』の過負荷★
村上春樹は読みやすく面白い。そして、性的な描写と、暴力…それも単純な暴力ではなくて、人間のもってる、根源的な悪、みたいな暴力性…そういうものを描く部分は、ほんとうに濃密。濃厚。逆にいえばそこを除いたら、この作品はどのエピソードもやや甘すぎて、消化不良で不十分で、おまけにイメージも旧い、という情けないほどたくさんの弱点をもってるんだけど、でも、作家が求めているものの「高さ」が、そういう失敗を補ってあまりある、という作品なのですよ。つまりどこをとっても、作家がまともに格闘していることがよくわかる真摯な作品です。その格闘が真摯であればあるだけその部分が露骨な主張となって露出してしまい作品の質は低下する。まあ当然のことです。だからこそ若いひとにおすすめします。いや。わたしがいうまでもなく、かれらはかれらの嗅覚で、そんなことはとっくにご承知なわけだけど。「凡庸な、とりあえずよい作品」ではけっしてない、失敗をおそれない作品はすばらしい。それが志の高さ、というものではあるまいか。
|
| 2003年2月1日 |
★新人賞選考★
毎年の風物詩のようなものだけど、この時期は新人賞の選考の季節。数日前にどさどさといっきょにたくさんの本が届いた。これを数日で読んでしまわねばならない。二日ほど旅行だったから、そのぶん読む時間がない。(次の選考委員にまわさねばならないのだ)で、昨日も今日も通勤電車とバスの中でもせっせと読む。新人の処女作。それは、ういういしくて、にもかかわらずその作家のすべてが〜この場合の「すべて」とは「未来」をふくめて〜こめられた作品なのだなあとあらためて思う。「書くこと」との出会い、みたいなものがそこにある。そのひとの若さゆえの「誤解」とか「錯覚」みたいなものも含めて。「賞」とか、そういう世俗の外皮を被せるのがなんだか悪いことみたいな、そんな気もする。じっさい、選考者個々の価値観のせめぎあいから湧いてくる「賞」に、それほどの意味はありません。もらったからって、お願いだからエラそうにならないで。もらえなかったからって卑屈になる理由が何もないのと同じように、ね。
|
| 2003年2月1日 |
★『いとしのドリー』風野潮★
このタイトルを見て、「おいおい」と思わずいってしまった。「いとしのエリー」からきてるタイトルだろ、でもでもドリーっていったら、例のクローン羊でしょうが。「ひつじのドリー」をどうしたって連想しちゃいますよう、と……ところが。以下ネタばれだけどね。
この作品ときたらほんとに!!「ひつじのドリー」と「いとしのエリー」なんですよこれが!!おまけにいかにも、という某国の国王とか(こんなのが現実にいるんだよねえ実際)、風野潮。やるじゃん。「ビートキッズ」で華々しいデビューを飾り、エンターテインメント児童文学の王道を行くもんだと思ってたら、やってくれるじゃん。風野潮。まあ多少積み残しもあるけど、これからも時代にアンテナをはって、いっしょにやっていこうねっ。それが児童文学をかえていく。うれしいぞ、キワモノ作家の仲間がふえて(かってに仲間にするな>じぶん)。しかし最近のニュースで日本にもクローン人間が誕生するというけど、こういう「流れ」は従来の価値観ではどうにも止められないところにいきているのですね。それをふるめかしい「倫理に反する」一辺倒の論理で立ち向かえると思うなよな〜朝日新聞論説委員。
|