鳥達の声に


鳥達の声に
風がいま 目覚めた
静寂を破ろうとする光に
眠り足りない虫達
夢と現実の転換が行われる 意識の舞台裏で

全てのものが 共に生きてゆかなければならない、
いや
共に生きてゆこうとするものだけが許される自然に
僕等はまだ許されている

僕等の音が鳥や樹や草に眠る虫達を
邪魔しはしなかったか
僕等の暮らしが彼等を
脅かしはしなかったか

くぬぎの木をのぼる 蝉の幼虫の薄羽に
音もなく開こうとする カサブランカの白い勇気に
東から光が差し込む

今年始めて鳴いたヒグラシの産声に
夏がはじまる